老後の生活で一番怖いのは失火だと思った話
火事のニュースで高齢の方が逃げ遅れたと聞くと、思い出してしまうことがあります。実家で起きたボヤ騒ぎです。
薪で焚くお風呂
昔昔、子供の頃に住んでいた家では、お風呂を薪で焚いていました。父が薪割をし、母がお風呂の準備をしていました。
夕方になり、母が火をおこし薪に火をつけるのを私はボォーと眺めていました。
初めてその作業をやらせてもらった時は、なかなか薪に燃え移らずドキドキしました。
薪で焚いたお風呂は、体の芯から温まり大好きでした。
お風呂に入った後、どのようにして燃え終わった薪を処分していたのか思い出そうとしても思い出せないので、私たちが寝た後に母が片付けていてくれたのだと思います。
直接火を見ることができるので、火は怖いものという思いがあったと思います。
ボイラーで焚くお風呂
その後新しい実家で使用していたのは、ボイラーで焚くお風呂でした。タイマーをセットすると自動で沸きます。今ついているような空焚き防止機能はありませんでした。
母は、みんながすぐにお風呂に入れるように、毎日必ずお風呂の準備をしてくれていました。
ボヤ騒ぎ
里帰りしていたある晩、「何か臭わない?」と二階から弟が降りてきました。自分のいた和室では全く感じませんでしたが、部屋を出てみると確かに臭いました。
私は真っ先にキッチンを確認しましたが、火の気はありません。その頃お風呂場を確認しに行った弟が、何かに気付きました。そして慌てて外を確認しに行きました。
お風呂の空焚きでした。お風呂に水を溜めないままタイマーをセットしてしまったのです。
幸い自分たちで消化できたので大事にはなりませんでしたが、私のいた和室が一番お風呂場に近かったので、念のため押し入れの中や天袋まで火の気がないか確認しました。
あの木が燃えたような臭いの中で、一晩過ごすのはとても不安でした。
私は直接炎を見ていないので、どの程度燃えていたのかわかりませんが、見えないところで炎が上がっていたという事実がとても怖かったです。
落ち込む母の姿
暗黙の了解で誰も母を責めたりしませんでしたが、母はとても落ち込みました。落ち込む姿を見るのは本当に辛かったです。
お風呂が使えない間は、母を連れて近場にある温泉施設を回りました。母と一緒に旅行に行ったことなど全くなかったので、一緒にお風呂に入るのは小学生以来でした。
日に日に落ち着いてきましたが、その後お風呂の準備をすることはしばらくなかったようです。
母はまだ60代でした。たまたまうっかりして水を入れ忘れただけですが、そのことによってどれだけのことが起こってしまうのか母も私たちも理解しました。
キッチンでも…
老後母は、周りの友達が他界したり、入院したりしてしまって昼間一人で過ごすことが増え、自分でお昼ご飯を作っていました。
しかし、家族が何度か鍋が焦げていることに気付きました。家族間で話し合って、一人の時は火を使わないで調理できるものにすることになりました。
最後に
今の実家は、一般的なユニットバスになっています。ボイラーでも今は空焚き防止機能もありますし、コンロも安全装置が付いています。
若い時でもついうっかりが起こってしまうこともあり得ますが、老後どこまで一人でできるのか、ちょっとおかしいと誰が気づいてくれるのか、考えると怖いですが、予防措置をできる限り準備したいと思います。
現在も未来も失火には十分気を付けたいと思います。